こんにちは。ローリエです。
登山中に熊と遭遇するリスクを最小限に抑えるためには、正しい知識と準備が必要です。
熊の習性を理解し、熊と遭遇しない対策を実践することで、安全な登山を楽しむことができます。
本記事では、熊との遭遇を避けるための具体的な対策と、万が一遭遇した際の対処方法について詳しくご紹介します。
僕は狩猟歴6年目のハンターであり登山歴も6年になります。
地元で有名な熊猟師の義父と一緒に熊猟にも行きますので、一般的に熊に関する知識もある方かと思います。
僕は本州に住んでいるので、この記事ではツキノワグマを対策を前提として話を進めていきます。
安心して自然を満喫するための情報をお届けします。
(ツキノワグマの写真は一般の方には衝撃的なものしか持っていないので、画像は海外の熊ばかりにはなります。)
ハンターである証拠として一般に公開できる写真を載せておきます。
登山前に知っておくべき熊の習性
熊の活動時間と季節
季節ごとの熊の行動パターン
熊は季節によって行動パターンが異なります。
春から夏にかけては活動が活発になり、秋には冬眠に備えて食料を求めて広範囲を移動します。
冬眠中の熊に遭遇することは少ないですが、春先には冬眠から覚めた熊が餌を探し始めるため、注意が必要です。
また熊の出産時期は冬の1〜2月であり、春になると、母熊が小熊を連れて歩いていることが多いです。
子熊を連れた母熊は非常に凶暴で、人間を見つけると子供を守ろうとして襲ってくることが多いです。
万が一小熊見つけてしまった場合、その場から早く逃げてください。
熊の活動時間帯
熊は主に早朝や夕方に活動することが多いです。
これらの時間帯は、熊が餌を探しに移動するため、人との遭遇リスクが高まります。
そのため、熊との遭遇を避けるには、登山の時間帯を調整し、熊が活動しやすい時間帯を避けることでリスクを抑えることができます。
熊が好む場所と食べ物
熊が集まりやすいエリアの特徴
熊は食べ物を求めて行動します。
果実が豊富な場所や水源近く、山間部の森林地帯などが熊の好むエリアです。
登山前にはこれらの特徴を持つエリアを確認し、避けるようにルートを設定します。
熊が好む食べ物と避けるべき場所
熊は果実、木の実、昆虫、小動物などを食べます。
特に秋には果実を求めて広範囲を移動します。
これらの食べ物が多い場所では熊との遭遇リスクが高まるため、登山中には注意が必要です。
熊の基本的な性格
基本的には臆病
熊は臆病な性格です。
物音や人間の声を聞くなど人間の気配を感じ取ると山奥に逃げていきます。
嗅覚も非常に鋭く、犬並みやそれ以上とも言われています。
臭いなどでも人間の気配を感じ取り、逃げていくことが多いようです。
例外として人を狙って近づいてくる個体も
基本的には臆病な性格の熊ですが、例外として人の気配を感じ取って近づいてくる熊もいます。
それは人に慣れてしまった熊や人の持っている物を狙ってくる熊、人自体を狙ってくる熊です。
そういった熊は稀にしか存在しなく、まずは大丈夫なのですが、熊による被害が多く出ている場所は注意が必要です。
熊対策の装備品と準備
熊鈴とその効果
熊鈴は効果があるのか?
熊鈴は、一般的に熊に自分の存在を知らせるための有効な道具と言われています。
実際に山に設置されたカメラに、熊鈴の音に反応してその場を離れるクマが映っていたということもあり、熊鈴は有効とされています。
海外では、熊鈴の音でクマが寄ってくるとして持ち歩かない登山者もいます。
ヨーロッパでは家畜にベルや鈴を付けて放牧する地域があり、その音を聞いてクマが寄ってくるからです。
熊鈴について、現状の日本国内ではその音を聞いて積極的にクマが寄ってきたという事例は聞いたことはありません。
確率論的にではありますが、日本国内では、熊鈴を持っていないよりも、持っていた方が遭いづらいということは言えるでしょう。
熊鈴を選ぶ際には音の大きさや持続性を考慮し、信頼性の高い製品を選ぶと良いでしょう。
使用方法は簡単で、歩く際に音が鳴るようザックや装備品に取り付けるだけです。
熊鈴が特に有効な時
熊鈴は、見通しの悪い場所、風が強い日など音が聞き取りにくい時、早朝や夕方の薄暗い時に特に効果を発揮します。
熊が音を聞いて人間の存在を察知し、回避行動を取るかもしれないため、音を出しながら進むことが重要です。
食料の保管方法と注意点
匂い対策の重要性
熊は犬並みに嗅覚が優れているため、食料やゴミの匂いには細心の注意を払う必要があります。
近年熊がテント場を狙って襲撃する事案が多発しています。
下記のリンクには、近年の熊の襲撃によるニュースが少しまとめられています。
人間の持つ食料の味を覚えた熊が、人が集まりやすいなどの特定の場所、食料の匂いのする場所を襲撃することがあります。
食料の匂い対策の実際
熊対策として、食料をの密閉容器に入れ、匂いが漏れないようにすることが重要です。
人があまり入らない場所であれば、まずは熊から近づいてくることがありませんが、人が多く規模の大きいテント場だったり、過去に熊が襲撃したような場所であれば対策が必要です。
実際に、現在は上高地の小梨平キャンプ場では、熊の襲撃を避けるため、食料を食糧庫に預けなければいけないといったルールが設けられています。
熊に遭遇しない登山ルートの選び方
熊の出没情報の確認方法
最新情報を得る方法
登山前には、最新の熊の出没情報を確認することが重要です。
インターネットで登山情報サイト、YAMAPやヤマレコなどの登山用ソーシャルメディアや地元の管理事務所などを利用して、熊の出没状況をチェックします。
また、地元のガイドや他の登山者からも情報を収集することが有効です。
地元のガイドや管理事務所は、熊の出没情報を常にアップデートしているため、信頼性の高い情報源です。
過去の熊出没情報の確認
最新の情報が一番有力ですが、過去の熊の目撃情報も熊の行動エリアを予測する上で有効な情報となります。
それは、熊も動物であることから、周辺の環境や水や食料の有無によって生息・行動するエリアが決まってくるからです。
僕も狩猟で熊を探す際には、過去に熊がいた場所を探すことが多く、そういった場所の方が遭遇率が高いです。
熊にとって住みやすい環境は決まっていることから、過去に多くの熊の目撃情報がある場所には出現する確率が高いと言えます。
安全なルートの選定基準
人が多く利用するルートを選択する
人が多く利用するルートは、熊が避ける傾向にあります。
登山者が多いことで熊が人間の存在を意識し、近寄らないことが多いため、安全なルート選びの基準となります。
バリエーションルートなどのマイナールートは通る登山者が少ないため、相対的に熊と遭遇するリスクが高くなります。
過去の目撃情報の多いルートは避ける
上記の「過去の熊出没情報の確認」のところで述べたように、過去に熊の目撃情報の多いルートは熊との遭遇率が高くなりがちです。
熊も人と遭遇し慣れている可能性もあるため、万が一近づきすぎてしまった場合、熊に危害を加えられる可能性が高く危険です。
そのため、熊との遭遇を避けるのであれば、過去に熊の目撃情報が多いルートは避けるべきだと言えます。
熊との安全な距離の保ち方
視界を確保しながらの登山
登山中は常に視界を確保するよう心がけ、周囲の状況を把握しておくことが重要です。
特に薮などの草木の多い場所や見通しの悪い場所では、音を立てて自分の存在を熊に知らせるとともに、急な出会いを避けるよう注意します。
急な出会いは熊も驚いて襲ってくる可能性が高くなるため、できるだけ回避したいものです。
熊が気付いていなくても、こちらが先に気付けば危険を回避できます。
山中で獣臭がするなと思った時は近くにいる可能性が高く要注意です。
音を出してこちらの存在を知らせる
登山中に熊との遭遇を避けるためには、定期的に音を出して自分の存在を知らせることが効果的です。
基本的に熊は臆病な性格のため、足音などの少しの音でも人間の気配がすると、山奥に逃げていきます。
熊除けベルや声を出すことで、熊がこちらに近づかないようにします。
特に見通しの悪い場所や風の強い日は、意識して音を出すことが重要です。
しかし、人慣れしている熊は音を聞いても逃げていなかい個体もいるため、必ずしも音を立てれば全ての熊が逃げていくわけでもないことに注意が必要です。
登山中に熊に遭遇した場合の対応方法
熊に出会ったらどうするか
まずは落ち着いて対処
登山中に熊に遭遇した場合、まず大切なのは落ち着くことです。
驚いたり走って逃げたりすると、熊自分より弱い獲物だと思い、追いかけてくる可能性があります。
深呼吸をして心を落ち着かせ、冷静に対処することが大切です。
また、急な動きや大声を避け、ゆっくりとした動きで熊の注意を引かないようにしましょう。
視線を合わせずにゆっくり後退
熊に遭遇した際には、視線を合わせることを避けながらゆっくりと後退するのが基本です。
視線を合わせると熊に敵視していると受け取られることがあります。
目を逸らしつつ、ゆっくりと歩を進め、熊との距離を少しずつ広げることが重要です。
周囲を確認し、逃げ道を確保しながら、安全な場所に向かうようにしましょう。
熊に遭遇した際の対応の方法
熊が襲ってきた場合に取るべき行動
熊が向かってくる場合は威嚇する
熊と目が合ってこちらに向かってきた場合は熊は戦闘体制となっています。
熊から逃げても、山中を時速約50kmで走れる瞬発力があるため、逃げるのは困難です。
また、逃げると、熊が「自分より弱いもの」と認識して襲ってくるため、逃げるという行為は自分から「襲ってください」と言っているようなものでしょう。
そのため、熊と目が合ってしまってこちらに向かってきた場合、勇気を振り絞って強気に対応することが必要です。
倒木や石の上に立ち、自分を大きく見せ、大きな声と音をたてて威嚇しましょう。
2人以上いるときは、まとまって行動しましょう。
近距離まで来たら熊撃退スプレーの使用
熊撃退スプレーは、熊が突進してきた際に使用する最終手段です。
効果的な使用距離は約9mとされています。
熊がこちらに向かってくるのを確認したら、風向きを考慮しつつスプレーを構え、確実に熊に向けて噴射します。
適切な距離で使用することで、スプレーの効果を最大限に発揮できます。
スプレーを使用した後は、熊が完全に立ち去るまでその場を離れず、状況を見守ります。
また、スプレーの残量を確認し、再度使用できる状態にしておきます。
襲われた時に取るべき行動
威嚇しても熊が襲ってきた場合、守りに徹するしかありません。
クマから攻撃を受けそうになったら、受けるケガを最小限に抑えることが重要です。
首の後ろに両手を回し、うつぶせになってください。
首、顔、腹部の急所を守るためです。
ザックを背負っている場合、背負ったままでいるとプロテクターの代わりになり、身を守れる範囲が広くなります。
熊に襲われた場合の応急処置
まずは止血
熊に襲われて怪我をした場合には、まず出血を止めることが最優先です。
熊による外傷では、出血が生命の維持にとって最も脅威となるためです。
安静にして傷口を圧迫し、清潔な布やガーゼを使用して止血します。
手や足などの抹消の出血は患部を挙上して圧迫してください。
登山では何が起こるかわからないため、万が一のためにファーストエイドキットを必ず持ち歩くことをオススメします。
助けを呼ぶ
深い傷や大きな怪我の場合には、周りに助けを求め、すぐに救助を呼び、医療機関への搬送を優先します。
また、事前に熊に襲われた場合、すぐに救助を呼ぶための手段を確認しておくことが重要となりますので、緊急時の連絡先を登山前には、あらかじめ確認しておきます。
熊の襲撃だけでなく、それ以外の原因でも電波がなく他の登山者もおらず行動不能となってしまう場合もあるため、登山計画の提出は必要です。
また、事前に登山に行くことを家族や他者に伝えておくことで、万が一の場合に迅速な救助が可能となります。
まとめ
登山中に熊に遭遇するリスクを最小限に抑えるためには、事前の準備と知識が不可欠です。
熊の習性や活動時間を理解し、適切な対策をすることで、安全な登山を楽しむことができます。
また、熊に遭遇した場合の対処法を知っておくことで、冷静に対応し、自分や同行者の安全を守ることができます。
登山前には必ず最新の情報を収集し、安全なルートを選び、楽しい登山を計画しましょう。