シャリバテとは?登山歴6年の看護師が予防・対策方法について解説【低血糖】

登山

こんにちは。Laurier(ローリエ)です。

僕は現在登山歴6年目の看護師です。

僕は看護師になる際に栄養学や生理学を学び、さらに登山での栄養摂取方法を本から学び、実際の登山で生かしてきました。

北アルプスが周辺がホームコースで、長いときは一日で30km近く歩きます。

今回は登山でよく聞くシャリバテの意味や、シャリバテしやすい人の生活習慣シャリバテの予防・対策方法について生理学・栄養学の視点を混じえて解説していきます。

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シャリバテとは?

登山業界でよく聞くシャリバテとは何でしょうか?

シャリバテとは、

シャリ=米

バテ=バテる

から来ていて、シャリがなくて(空腹で)バテるという意味です。

いわゆるハンガーノック、医学的に言うと低血糖状態を指します。

何やら知らない言葉が次々と出てきてわからないという方のため、下に詳しく解説していきます。

シャリバテ=低血糖状態とは?

シャリバテ=低血糖状態とはどのようなものしょうか?

低血糖状態とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度が低下した状態を指します。

低血糖状態を数値で表すと、70mg/dl以下です。

正常値は71〜125mg/dlの範囲内です。

シャリバテ=低血糖の症状は?

シャリバテ(低血糖状態)の症状は血糖値によってそれぞれ違ってきます。

また低血糖でも症状が出にくかったりと個人差も大きいです。

低血糖でも血糖値によって症状は違ってきます。

軽度低血糖状態を通り過ぎ、中等度の低血糖状態が急に出てくることもあります。

登山中に以下のような症状が出たらシャリバテ=低血糖状態を疑うことが大切です。

軽度低血糖

血糖値が70mg/dl以下の軽度の低血糖では一般的に以下のような症状がでます。

空腹感、冷汗、不安感、手指振戦、顔面蒼白、動悸など

中等度低血糖

血糖値が30〜50mg/dlの中程度低血糖では以下のような症状が出ます。

頭痛、眼のかすみ、動作緩慢、集中力低下、次いで、意識障害、異常行動、けいれんがみられ、さらに昏睡に至る

重度低血糖

血糖値が 30mg/dL 以下の重度低血糖になると以下のような状態になります。

けいれん発作、低血糖昏睡に至り、治療が遅れると死に至る

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シャリバテしやすい=低血糖になりやすい人とは?

シャリバテしやすい人とはどんな人でしょうか?

病気の場合を除いて、生活習慣の視点から説明していきます。

飲酒習慣のある人

飲酒習慣があり、肝機能が低下している人はシャリバテを起こしやすいです。

アルコールは体内に入ると肝臓によって分解されます。

飲酒習慣があると肝臓に負担がかかり、肝臓の機能が低下します。

肝臓には筋肉や肝臓に溜まったグリコーゲンを分解しグルコース(ブドウ糖)を生成する糖新生という機能があります。

肝臓では、血糖値が下がると糖新生が行われ、血糖値が上がります。

しかし、肝機能が下がることで糖新生が通常通り行えなくなり、シャリバテを起こしやすくなることがあります。

飲酒習慣のある人は、登山数日前からアルコールの摂取をさける方が賢明です。

栄養のバランスの悪い食事をしている人

ビタミン・ミネラルが不足すると、体の代謝が悪くなってシャリバテを起こしやすくなると考えられています。

カップラーメンなどのインスタント食品や、ジャンクフードばかり食べている人はビタミンやミネラルの不足が起こりやすいです。

日頃から栄養のバランスを考えた食生活を送るようにしていきましょう。

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シャリバテの予防方法は?

シャリバテの基本的な知識を知った上で、シャリバテをしないようにするにはどのように予防すると良いでしょうか?

それを以下に解説していきます。

行動食を摂る

シャリバテの予防策1つ目としては適宜行動食を摂ることが基本となります。

何でも食べればすぐにエネルギーになるわけではなく、糖質(炭水化物)を摂るのが効率的です。

それは、3大栄養素である、糖質、脂質、タンパク質のうち、消化・吸収が一番早いからです。

チョコや飴、柿の種、パワーバー、パワージェル、ようかん、大福、ドライフルーツなどは糖質(炭水化物)が多く行動食に適しています。

1〜2時間に一回程空腹感を感じる前に摂取すると良いでしょう。

ナッツなどは脂質が多く、糖質(炭水化物)に比べカロリーが高いのがメリットですが、脂質が多く、消化・吸収に時間がかかるため、すぐにはエネルギーになりません。

しかし、ナッツは消化・吸収に時間がかかる一方、緩やかに血糖値を上げてくれるため、腹持ちは良いです。

ナッツなどの脂質が多い行動食は、空腹感を感じる前に時間などを決めて定期的にシャリバテ予防に食べていくスタイルが良いでしょう。

シャリバテとは少し違いますが、熱によるバテを予防するため、発汗の多い夏などの季節は塩分を含んだものも適宜摂ることも必要です。

塩分を含んだものを摂ることで発汗によって消失した体内の塩分量を補充し、汗に出すことで体温を効率的に下げることができます。

熱中症の予防になるとともに、体温の上昇によるバテを予防できます。

僕のオススメは以下のようになります。

ナッツに塩が添加されていると、行動食で食べ過ぎると塩分過多になって喉が渇くため、あえて食塩なしで他から塩分を取るようにしています。

普段のおやつとしてもおいしく、良質な脂質などの栄養素を含んでいて、体に良いためオススメです。

なんだかんだで優秀なカロリーメイト。

食べてすぐにエネルギーになるし、保存が効くし、美味しいし、小さくてもカロリーがあるので登山に向いています。

問題はパサツキがあることくらいで、流し込む水分があれば全然問題ないでしょう。

レモン味の塩飴は塩分以外に(クエン酸)を含んでいるため疲労回復効果も期待できます。

舐めながら行動できるため、登山中に口が寂しいときにも向いています。

ペースを上げすぎない

シャリバテの予防策2つ目としてはペースを上げすぎないことです。

ペースを上げるとその分早くエネルギーを消費し、シャリバテしやすくなったり、体力的にバテやすくなります。

一般的に言われるのは最高心拍数の75%以下が良いと言われています。

理想的なペースの心拍数を求める計算式は以下のようになります。

最高心拍数(200 − 年齢)× 75%(以下)

これに例として30歳を当てはめると、

(200 − 30)× 75% = 127.5

となり、30歳の場合心拍数127以下をキープできるようなペースで歩けば良いことになります。

しかし、なかなか心拍数からペースを管理することも難しいと思います。

簡単な目安として、話しながら歩いても息苦しくないペースが良いと言われています。

客観的に脈拍を測りながら登山がしたい方はスマートウォッチやスマートバンドを導入すると便利です。

以下にコスパの良いオススメのスマートバンドを掲載しておきます。

こまめに適度な水分補給をする

シャリバテの予防策2つ目としてはこまめに適度な水分補給をすることです。

こまめな水分補給は脱水を予防し、バテを起こしにくくします。

のどが渇いたという自覚症状がある時には、脱水がかなり進行しているため、意識してこまめに水分を摂取することが大事です。

水分はお茶ではなく、水とスポーツドリンクを組み合わせて摂取するのが良いと言われています。

それは、お茶などのカフェインが入っている飲み物は利尿作用が働くことで血液中の水分の排泄を促し、さらに脱水を進行させるためです。

※お茶でも麦茶はカフェインが入っていないため飲んでも問題ありません。

なぜ、水とスポーツドリンクの組み合わせが良いかといいますと、人間は発汗によってナトリウムやカリウムなどの電解質を失いますが、それを適切に補充できるためです。

電解質が不足すると、熱中症や筋肉の痙攣(いわゆる攣る)をおこしやすくなり行動不能や命の危険にまで関わります。

スポーツドリンクなどで電解質を補充しながら登山をするのと、そうでないのとでは疲労の具合にも相関するというデータもあり、適度に水とスポーツドリンクを混じえながら摂取することも推奨されています。

しかし、喉が乾いたからと言ってスポーツドリンクを一本がぶ飲みするような行為は避けてください。

スポーツドリンクのような水分に溶け込んだブドウ糖は消化する必要がないため、即座に吸収され、急激な血糖値の上昇起こします。

そのため、血糖を下げようと膵臓からのインスリンが急激に分泌(インスリンスパイク)されることで、かえって低血糖(シャリバテ)になることがあります。

みなさんも昼食を食べた後に急に眠くなることがあるかと思いますが、それと同じ現象が登山中でも起こります。

また、スポーツドリンクを多く飲みすぎると起こる、ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)にも注意が必要です。

これは、糖分を多く含む飲料を飲み続けて、高血糖の状態がいつまでも続くと、インスリンの分泌が減ったり働きが悪くなったりし、ブドウ糖は血液中に残ったままになります。

血液中にブドウ糖が多くとどまったままだと、尿の量が増え、脱水になります。

喉が渇くので、さらに糖分を多く含む飲料を飲み続けると、より症状が進んで悪循環に陥ります。

以上から、水分摂取は水がメインで、補助としてスポーツドリンクを摂取すると良いでしょう。

カーボローディングをする

シャリバテの予防策2つ目としてはカーボローディングをすることです。

カーボローディングとは、運動時のエネルギー源となるグリコーゲンを肝臓と筋肉に貯めておき、運動時に使えるようにしておく栄養摂取法です。

カーボローディングしておくと、登山当日に肝臓と筋肉に溜め込まれていたグリコーゲンを分解してグルコース(ブドウ糖)としてエネルギーに使用できるためシャリバテしにくくなります。

簡単に言うと、運動前にエネルギーを体内に蓄えておく方法ということです。

では、カーボローディングの方法はどういったものかといいますと、2~3日前から炭水化物・糖質を中心とした食事にするだけです。

多量に炭水化物・糖質を摂取することで血中の過剰なグルコースがグリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯蔵されます。

炭水化物・糖質を中心にした食事をメインとすると、野菜などの食物繊維や肉、魚などのタンパク質などが不足しがちで、栄養のバランスを崩して登山当日に体調を崩してしまっては元も子もなくなってしまいます。

あくまで炭水化物・糖質を中心として、栄養のバランスも考えて摂取するようにしましょう。

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シャリバテしてしまったらどうすれば良い?

シャリバテしないよう上記の予防方法を実践していても、シャリバテすることはあります。

急激な脱力感や空腹感、倦怠感などシャリバテの症状が出てきた場合、①足を止めて ②行動食を食べるようにしてください。

足を止める

まずは足を止めて少し休みましょう。

行動食を食べながら動いていても、エネルギーが出ていくばかりではなかなか血糖値は回復しません。

シャリバテでペースが落ちた状態で動いても、なかなかペースが上がらないことがほとんどだと思います。

行動食を食べる

足を止めたあとは行動食を食べ、水分補給もしましょう。

200〜300kcal程摂取すると、後にスムーズに動き出しやすくなると思います。

炭水化物や糖分を摂取すれば数分でエネルギーになり、体も軽くなります。

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最後に

いかがでしたか?

以上のようにシャリバテの意味や、シャリバテしやすい人の生活習慣、シャリバテの予防・対策方法について生理学・栄養学の視点を混じえて解説してきました。

シャリバテの基本的な知識を頭にいれることで、シャリバテを予防し、安全に登山を楽しんでいきましょう。

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