こんにちは。ローリエです。
僕は岐阜県の飛騨高山で6年目を迎える猟師です。
2024年2月のニュースで環境省により熊が指定管理鳥獣化されるということが発表されました。
この記事では、熊が指定管理鳥獣となることの詳細やその影響を考えていきます。
熊が指定管理鳥獣に
2023年、クマの被害は全国的に増えています。
クマの被害にあった人は国のまとめでは1月末までで218人にのぼり、統計を取り始めてから初めて200人を超える過去最悪の被害となっています。
都道府県別にみると、死亡した人は
▽北海道と岩手で、それぞれ2人
▽富山と長野で、それぞれ1人で、あわせて6人にのぼりました。
こうした中、環境省が設置した専門家による検討会が対策方針を提言しました。
クマによる被害が過去最悪となる中、環境省が設置した専門家による検討会は、クマを「指定管理鳥獣」に追加し、生息状況を適切にモニタリングした上で捕獲することを国が支援すべきだとする対策方針を提言しました。
指定管理鳥獣とは?
指定管理鳥獣とは、鳥獣保護法の改正により創設された制度です。
集中的かつ広域的に管理を図る必要があるとして、環境大臣が定めた鳥獣(指定管理鳥獣)について、都道府県又は国が捕獲等をする事業(指定管理鳥獣捕獲等事業)を実施することができることになりました。
指定管理鳥獣にはニホンジカ及びイノシシが指定されています。
環境省のHPより引用
このようなわかりにくい文章で長々と書いてありますが、要は「都道府県か国が、管理のために捕獲等の指示を出すことができる」ということです。
よって、今後国や都道府県から要請があれば熊を有害鳥獣駆除等で駆除を行う可能性が出てくるということになります。
熊が指定管理鳥獣に指定されることによる影響は?
熊が指定管理鳥獣に指定されることによる影響は何かがあるかを考えていきます。
現在鹿やイノシシは、指定管理鳥獣に指定されており、僕の住む岐阜県の飛騨高山では有害鳥獣駆除の報奨金が出ます。
これは増えすぎた鹿やイノシシの個体数を調整するために行われているものです。
では、熊が指定管理鳥獣に指定されたことによる影響はというと、熊が増えすぎた地域では有害鳥獣駆除の対象となり、報奨金が出るようになると予想されます。
しかし、熊は鹿やイノシシほどの繁殖力もないことから慎重に行われていくのではないかと考えます。
それは、かつて行われた春グマ駆除の前例があるためです。
「春グマ駆除」制度は、1966年より北海道が始めたヒグマの駆除政策で、駆除が容易な早春期にクマを捕獲する活動であり、 札幌市を含む石狩西部地域では一時期絶滅の恐れがあるほどまで頭数が減ったことから、1990年にこの制度は廃止されています。
地域別に考えると、ツキノワグマが絶滅した九州はもちろんのこと、絶滅が危惧されている四国では指定管理鳥獣化されても有害鳥獣駆除の対象となることはまずありません。
2023年に主に東北の地域で熊の被害が深刻化していることから、それらの地域では今後、駆除などが行われる可能性があるでしょう。
実際僕の住む地域は市の90%が山林となっており、熊による被害が大きいことから、既にベテランハンターの一部で熊は有害鳥獣駆除の対象となり、2023年度は60〜70頭程駆除されています。
報奨金は個人のものではなく地域の猟友会に入ることから、自ら進んでの駆除は行われてはいません。
錯誤捕獲などで罠にかかってしまった熊を駆除する例が多いです。
熊が指定管理鳥獣になったことで、慎重に今以上に駆除が行われていくと思います。
まとめ
今回は熊が指定管理鳥獣となることの詳細やその影響を考えてきました。
2023年熊による被害が過去最悪となったことによって熊が指定管理鳥獣になりました。
熊が指定管理鳥獣になったことによって、熊の被害が多い東北などの地域では有害鳥獣駆除の対象として慎重に駆除が行われていくと思います。